ARCHITECTURE + SCENOGRAPHY
敷地の大半を覆う人工地盤は、東から西にかけて傾斜しグランドレベルと2層構成とされる。こ の傾斜するグランドともう1層上の傾斜する人工地盤はたなびく雲の様に周囲からのアプロー チを受け容れる。この人工地盤は様々に穴が穿たれ、光と風と雨を通し、グランドレベルを緑化 し、公園として公開空地として2層の利用を図る。その大きな穴から大きな大輪の菊の華の様に スタジアムが浮上する。その他、スポーツ関連商業施設、図書館や博物館も浮上する。このグラ ンドレベルと人工地盤の2層レベルは、様々な外からのアクセスを可能とし、スタジアムを開か れた空間に導く。大きくは3層の観客席(競技面側)を支える空間とし地下2階地上9階から構 成された競技場は、この2層レベルに接続される。千駄ヶ谷駅や地下鉄駅からも容易にアクセ ス出来、普段でも一般の人々の散策路として使用される。また、FIFA基準の観客動線をメイ ンスタンド・サイドスタンド及びバックスタンドへのルートが其々明快に分離されアプローチす るという、動線分離に対応して活用される。選手・監督等やVIP・メディア等の動線分離もレベル の違いを活かして観客との分離を計り、バックスタンド側地階に設けた雨天走路部からは、サブ
トラック・投てき場となる神宮球場方面への地下連絡通路を繋げ、選手と観客との分離を計る
ひかりの空間活用
競技場を囲む穴は地下階のドライエリアであり、また大会入場 口に向かう選手団の通路としても活用され、観客との動線分離を 図る。
ホスピタリティ動線
VIPは入場ゲートの他、直接車で入場し、専用EVによりV IPフロアへと直行する。そこにはVIP専用のバー、レストラ ンを備えている。様々な目的で集まって来る人々が其々の目的に 沿って互いに干渉することなく、快い目的空間の展開を可能に配 慮している。
開閉式サスペンション構造の屋根
競技場の屋根はサスペンション構造であり、中央のガラス屋根 はサスペンションの束立てによるアーチ構造に支えられる。ガラ ス屋根は合わせガラス(透明ソーラーパネル+網入りガラス1 0mm)から成り、エネルギーの補充とする。 このガラス屋根をコンピューターで様々なプログラムを組み、開 閉操作を容易にして使用頻度を高める。 悪天候でも競技会やコンサート等が開催し得る。コンサート時の ステージ構成を容易に設定でき、照明計画も自由に構成される。 夜間を初め日中のイベントも日照調整することで行える。簡易な 屋根開閉装置であればこそと考える。
スタジアムの環境的配慮
スタジアム緑化 グランドレベルと人工地盤には其々に植栽が可能な限り施さ れ 、更 に ス タ ジ ア ム の 外 壁 は ガ ラ ス 窓 と し 、外 側 に ピ ア ノ 線 を 張 り蔦等による植栽・グラスウォール(自動給水装置付き)を計画す る。メインスタンド部TP32レベルとバックスタンド部TP38レ ベルの人工地盤はサイドスタンド部で3%の勾配で、踊り場不要 のなだらかな傾斜となり車椅子でも快適に行き交える。
避難場所としてのスタジアム
更にこのスタジアムは震災等の避難所として当初から計画し て行きたい。屋根ガラスは破損しても落下しないセーフティネッ
ト等の対策を考慮する。この巨大な施設は様々なアメニティ機能 も併せ持ち、避難施設として多大な被災者を受け入れ可能に出 来ると考える。